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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第99章 99 兄と妹
「あ、ご、めんなさい」

 下を向いてまた前を向くと、初めてみる兄ではなく、男としての表情を持つ京樹がいた。

「やだ、なんの冗談?」
「冗談ではないよ」
「でも、わたしたち、兄妹として育ってきて今更そんな」
「僕は妹じゃなくて一人の女人として君を愛してきた」

 真剣な表情に怖くなるほどだ。漆黒の瞳はより深く黒く星羅を吸い込んでしまいそうだ。

「あ、あの。ありがとう。でもわたしはやはり妹で、わたしの心は明樹にあるわ」
「ん。そういうと、わかってた……」

 星羅はいろいろな出来事と様々な感情が沸き上がり、何をどう考え感じたらいいか迷った。

「太極府のお仕事はどうするの?」
「星を見る限り、国難の絶頂がどうやら過ぎたみたいだ。もしかしたら徳樹のことも関係してるのかもしれない」
「そう」
「恐らくこの飢饉も一年耐えれば何とかなると思う」
「ならいいけど」

 良い話を聞くと少しだけ気持ちが軽くなる。

「難局を乗り切れば、帰国しようと思う」
「そうなのね……」

 京樹は西国に行く、ではなく帰国と言い始めた。

「家族としてでも来ないか? かあさまにも会えるし、きっと以前のようにみんなで暮らせるかも」

 星羅は首を横に振る。

「わたしはこの国の民だわ。もちろん京にいも、かあさまもとうさまも恋しい。でもこの国でやらねばならないことがいっぱいあるから」
「わかった。何かあればすぐに言うんだよ。できる限り力になるから」
「ありがとう」
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