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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第103章 103 占い師
 一人で静かな夜道を歩く。大通りから一本入ると、店はまばらになっていて人通りも少なくなった。星羅は瓶のふたをとり、一口酒を飲む。

「一人で飲むほうが酔えるかな」

 夫の明樹とはよく酒屋に行って楽しく飲んだ。陽気な彼は酒が入ると更に明るく朗らかになった。

「どうしてかしら、ね」

 遺品を整理していた時に、明樹が星羅に当てただろう文が出てきた。

『私は弱い人間だ。すまない』

 快活で前向きな明樹に弱い部分があろうとは夢にも思わなかった。父親である陸慶明も「明樹は私の母に似ているところがあったようだ」とがっくり肩を落としていた。

 星羅が後を追わずなんとか生き長らえているのは、明樹の一粒種でもある、息子の徳樹が残っているからだろうか。
瓶を傾けまた酒を含む。

「明兄さま……」

 いつかひょっこり顔を出して「なんだ暗いじゃないか。酒でも飲もうぜ」とどこからか出てくるのではないだろうかと、無駄な空想に縋りつく。
 気が付くと瓶は空になっている。

「少し酔ってきたみたい」

 ふらふらし始めた星羅は広い道から狭い道に入る。家を目指して歩いていると、十字路に差し掛かる。
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