この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第103章 103 占い師
「おや? あんなところに誰か」
店も民家も建っていない空き地に机を出して座っている者がいる。行燈の火がちらちらしていて、その人物を明るくしたり暗くしたりする。
近づいてみると、街頭の占い師のようだった。
「そういえば、観てもらったことないな」
都のあちこちにも、街頭で占っているものがいる。太極府からのスカウトを待っている占い師も多いが、陳老師の眼鏡にかなうものはなかった。
ふらっと近づき、頭から深くローブをかぶった占い師に声を掛ける。
「観てもらえる?」
占い師はうつむいたまま頷き「何を観ましょう」と答えた。声で女人だとわかるくらいで、立っている星羅には座って俯く占い師の顔は見えない。
「え、と。母のことを」
「どちらの母を?」
「え? どちら?」
占い師はこくりと頷き「お二人いるでしょう」と静かに答える。いきなり当てられて星羅は驚いた。
「あ、ああ、では、その、育ての母を」
「わかりました」
占い師は袖口から紙の束をとり出しかき混ぜ、まとめてから何枚か机に並べる。色々な絵の札が並べられた。星羅にわかるのは、異国の民が描かれていることと、太陽、楽器を拭く人物などだった。
「あなたのお母さまはとてもお元気です。愛しい人との再会も果たしているでしょう。近々、手紙が届くかもしれません」
「そうですか。よかった」
少しだけ心が温まり、ほっとする。
店も民家も建っていない空き地に机を出して座っている者がいる。行燈の火がちらちらしていて、その人物を明るくしたり暗くしたりする。
近づいてみると、街頭の占い師のようだった。
「そういえば、観てもらったことないな」
都のあちこちにも、街頭で占っているものがいる。太極府からのスカウトを待っている占い師も多いが、陳老師の眼鏡にかなうものはなかった。
ふらっと近づき、頭から深くローブをかぶった占い師に声を掛ける。
「観てもらえる?」
占い師はうつむいたまま頷き「何を観ましょう」と答えた。声で女人だとわかるくらいで、立っている星羅には座って俯く占い師の顔は見えない。
「え、と。母のことを」
「どちらの母を?」
「え? どちら?」
占い師はこくりと頷き「お二人いるでしょう」と静かに答える。いきなり当てられて星羅は驚いた。
「あ、ああ、では、その、育ての母を」
「わかりました」
占い師は袖口から紙の束をとり出しかき混ぜ、まとめてから何枚か机に並べる。色々な絵の札が並べられた。星羅にわかるのは、異国の民が描かれていることと、太陽、楽器を拭く人物などだった。
「あなたのお母さまはとてもお元気です。愛しい人との再会も果たしているでしょう。近々、手紙が届くかもしれません」
「そうですか。よかった」
少しだけ心が温まり、ほっとする。