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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第104章 104 母の行方
 兄の朱京樹が帰国してしまう前に、星羅は忙しい合間を縫って太極府に面会に行った。何度も訪れている星羅はもう門番にいちいち身分証を見せることなく通される。長く静かな廊下を通り京樹のいる部屋にたどり着く。

「京にい」
「やあ、よく来たね」

 静かに答える京樹の隣に、太極府長の陳賢路も静かに座っている。

「あ、陳老師。失礼いたします」
「うんうん。よいよい。ゆっくりするがええ。まあ星羅殿も暇ではないだろうが」
「恐縮です」

 立ち上がろうとした陳賢路に星羅はそうだと小さな包みをとりだす。

「すみません、陳老師。こちらを見ていただけますか?」
「ん? どれどれ」

 星羅は包みの中身をとりだす。紫色の綺麗な石だ。

「おお、これは。流雲石(ルーン)ではないか」

 先日占い師に観てもらったときにもらったと告げると、陳賢路は穏やかな表情を一変させ目を見開いた。

「なんと! その者は晶鈴かもしれない! この石はわしが晶鈴に渡した物によく似ておる」
「え?」
「そなたに会って名乗らなかったのか、その占い師は」
「ええ……」

 星羅は生みの母に会い損ねたのかと、目の前が真っ暗になった。ガクッとひざを折った星羅の肩に京樹が優しく手を置く。

「星羅、そんなに気を落としてはいけない」
「でも、でも」
「ついておいで。うちの卜者に占わせてみよう」
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