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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第12章 12 失われた能力
「会いたかった……」
「お立場をもっと考えないと……」
「よく考えたし、我慢もした。もう一生会えぬかと思った」
「そんな……」

 隆明の言うことはあながち大げさではない。王や王妃、太子など王族の中でも身分の高いものに会うためには、高い身分が必要だった。たとえ、占術を所望され太極府から派遣されても、晶鈴では無理だ。太極府長の陳賢路と次長の2名ほどだ。晶鈴が次長になるためには、相当の年数を要するだろう。

「王太子妃さまはどんな方なのです? お美しいと聞いてます。もう来年にはお子様も生まれますし」
「そうだな。王太子妃は美しいと思う……」

 王太子妃の桃華は美しく、琵琶の名手でもあった。しかしいつも仮面のような表情で、生まれた国のことを聞いてもあいまいな答えしか話さず、進んで寄り添ってこようとはしなかった。美しい人形のようだ。
 最初は、緊張のためにそのような態度だと思い、隆明から寄り添ったが、まるで打ち解ける様子はない。子供ができても彼女の様子に変化はない。体調の変化に気分を悪くしているのか、寝台に伏してばかりだった。

「王族の結婚とはこのようなものなのだろうか」

 隆明の生みの母である先の王后はなくなっているため、父王と母の睦まじい姿を見たことはなかった。もちろん、父王と今の王后とのプライベートな関りも見たことがない。

「隆明兄さま……」

 晶鈴にも彼が一日中、形式の中にいて、伴侶を得ても、結局王族の婚姻の形式が増えただけなのだということが分かった。民族と大陸の統一がなされ、戦争や貧困が起きない今、命を脅かされることが減っている。やっと安心を得た時代だ。それでも自由のない籠の鳥の隆明は我慢を強いられている。王族に生まれた天命であると理解していても、まだ若い彼には辛いことだった。
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