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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第109章 109 旅立ち
長い晶鈴の物語を聞き終えて、星羅は一口酒を飲み尋ねた。
「これからどうなさるのですか?」
「北の国に行くの」
「北に? なぜ?」
「新しい国がおきるのを見に行くのよ」
「そのあとは?」
「また新しいことが起きそうなら見に行くの」
「華夏国には留まらないのですか?」
「ええ、ここはもう少し後で変化があるでしょう」
国に変化があると聞いて星羅はもっと気になった。
「どんな変化ですか? 今でも飢饉で民は苦しんでいるのに……」
軍師として国を憂う星羅に晶鈴は優しく微笑みかけた。
「華夏国も浪漫国のように、天子という存在がいつか消えるでしょう」
「そんな……」
星羅にとって高祖が築いたこの王朝は、華夏国の歴史の中でも随一の王朝だと思っている。奴隷もおらず、宦官も無くなり、才によって自己実現が叶う理想的な国だ。華夏国の良さを熱心に話す星羅を晶鈴はじっと見つめる。
「とてもうまくいっていると思うわ。だけど変化がないとやはり滞ってしまうのよ」
「平和よりも変化がいいと思うのでしょうか」
「人は欲深いものね。目の前の平和に感謝ではなく、飽きを感じてしまうの」
「では、浪漫国のあとの分裂した国もまた更に変化が起こると?」
「そうよ。いつまで何のために変化させるのかわからないけれど」
「難しくて、わたしには、何が何だか……」
「ねえ。星羅。わたしたちと一緒に旅をしない? きっと国なんてものに縛られずに本当の自由でいられるわよ」
「自由……」
しばらく自由について星羅は思いを馳せたが、はっきりと答えを出せなかった。
「考えなくていいのよ。旅に出て、自分自身を感じるの。今の苦痛からも自由になるのよ」
星羅は、国のこと、軍師としての仕事、息子の徳樹や、父王の隆明を想い、そして亡き夫、明樹を想った。
「わたしは不自由なままでもいいです。ここでやることがあるから」
「そう……」
「母上はどうぞ、するべきことをなさってください」
晶鈴の眉が歪み、少しだけ寂しそうに見えた。
「これからどうなさるのですか?」
「北の国に行くの」
「北に? なぜ?」
「新しい国がおきるのを見に行くのよ」
「そのあとは?」
「また新しいことが起きそうなら見に行くの」
「華夏国には留まらないのですか?」
「ええ、ここはもう少し後で変化があるでしょう」
国に変化があると聞いて星羅はもっと気になった。
「どんな変化ですか? 今でも飢饉で民は苦しんでいるのに……」
軍師として国を憂う星羅に晶鈴は優しく微笑みかけた。
「華夏国も浪漫国のように、天子という存在がいつか消えるでしょう」
「そんな……」
星羅にとって高祖が築いたこの王朝は、華夏国の歴史の中でも随一の王朝だと思っている。奴隷もおらず、宦官も無くなり、才によって自己実現が叶う理想的な国だ。華夏国の良さを熱心に話す星羅を晶鈴はじっと見つめる。
「とてもうまくいっていると思うわ。だけど変化がないとやはり滞ってしまうのよ」
「平和よりも変化がいいと思うのでしょうか」
「人は欲深いものね。目の前の平和に感謝ではなく、飽きを感じてしまうの」
「では、浪漫国のあとの分裂した国もまた更に変化が起こると?」
「そうよ。いつまで何のために変化させるのかわからないけれど」
「難しくて、わたしには、何が何だか……」
「ねえ。星羅。わたしたちと一緒に旅をしない? きっと国なんてものに縛られずに本当の自由でいられるわよ」
「自由……」
しばらく自由について星羅は思いを馳せたが、はっきりと答えを出せなかった。
「考えなくていいのよ。旅に出て、自分自身を感じるの。今の苦痛からも自由になるのよ」
星羅は、国のこと、軍師としての仕事、息子の徳樹や、父王の隆明を想い、そして亡き夫、明樹を想った。
「わたしは不自由なままでもいいです。ここでやることがあるから」
「そう……」
「母上はどうぞ、するべきことをなさってください」
晶鈴の眉が歪み、少しだけ寂しそうに見えた。