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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第110章 110 京樹の帰国
 華夏国民の1割が飢餓で死に、国庫もほぼ尽きかけたころ気候に温暖の兆しが見えた。まだ油断はできず、質素な生活が推奨されてはいるが国難の頂点からは抜け出たようだ。それと同時に太極府でずっと星を読んできた朱京樹は星が見えなくなった。

「華夏国での僕の役割は終わったようだ」

 京樹は再三、西国の王にと使者がやってきていたが、返事を伸ばしていた。華夏国の行方と、妹の星羅が心配だったからだ。

 その心配ももうなくなりそうだ。星羅から無理をしてない前向きな姿勢が感じられる。実母の胡晶鈴に会えたようで、心の憂いが減っているようだ。
 兄として妹を支える必要性がなくなり、星も見えなくなり、華夏国でやるべきことは、もはやないかもしれない。

 達観する京樹だが、太極府の陳賢路はたいそう残念がる。

「おぬしをわしの跡継ぎにさせたかったのじゃがなあ」
「異国民の僕にそこまで期待してくださって本当にありがとうございます」
「しょうがない。京樹は占術師ではなく、王になる運命だったのじゃな」

 胡晶鈴に次ぐ逸材は京樹だった。陳賢路は心から残念だと思うが、こういう逸材がいないときは国家に不安がないときでもある。

「しばらく平和な御世が続くのかの」

 2人はしばらく、夜空の星をただ、かがやく美しい星として眺めた。
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