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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第110章 110 京樹の帰国
 宴が終り、明日になれば京樹は旅立つ。外交官として西国を訪れることが出来るだろうが、そう簡単なことではない。ちょっと馬を走らせて、太極府に会いに行くのとはわけが違うのだ。星羅は出来るだけ京樹の姿を目に焼き付ける。華やかな西国の衣装の彼を見ながら、いつもの漢服の兄の姿も思い出していた。

 早朝、星羅は最後に京樹の姿を一目見ようと、王族と郭家の後ろに控えていた。十分、兄妹として別れの会話を交わしてきたが、まだまだ言い足りない気がするし、寂しい。
 金属が多く使われた豪華な馬車に乗り込む京樹をじっと見る。京樹は、星羅の視線に気付くとじっと星羅を見つめ目配せをした。

「さよなら、京にい……。お元気で、王様」

 屈強な兵士に守られ、長い西国の隊列は都を後にした。帰国すれば、すぐに京樹は即位し国を安定させようと奮闘するだろう。バダサンプによって荒れた西国を立て直そうとする京樹はきっと大変な苦役を強いられるだろう。

 一瞬、「王妃として西国に来ないか?」と言われたことを思い出す。京樹と一緒に国を立て直すことに尽力するほうが良かったのだろうかと考える。『次にまた求婚されたらお受けなさい』晶鈴の言葉を思い出すと美しい異国の王に抱かれることを想像してしまった。

「母上が変なことを言うから」

 星羅は、見えなくなるまで京樹の乗った馬車を見送り続けた。
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