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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第112章 112 求婚
中央から退いていた許家は、今また許仲典によって盛り返しているようだ。ぼろになっていた屋敷は、修繕され強固になっている。庭も手入れをさせ、栄華がよみがえったような明るさを取り戻している。
「久しぶりね。どうぞ、庭で話しましょうよ」
結婚してから紅美はゆったりと穏やかな顔つきになり、星羅に対しても温和な態度だ。夫婦生活が上手くいっているに違いないと星羅はホッとする。
郭蒼樹から求婚されたことを話すと「とっとと結婚しなさいよ」と嫣然として茶を啜る。
「わたしに蒼樹の奥方が務まると思う?」
「蒼にいの奥方?」
「ええ」
「蒼にいが奥方を求めてるって言ったの?」
「いや、そんなに具体的なことはなにも」
「あなたと一緒にいたいだけで、奥方になれとは言ってないのでしょう?」
「なのかなあ」
「結婚して仕事を辞めてくれとでもいった? 言わないわよねえ」
「今のところは」
「そんなことずっと言わないわよ」
「かなあ」
「もう! じれったいわねえ。他に好きな男とかいないんでしょ? 蒼にいはあなたのことずっとすきだったのよ? けちけちせずに結婚なさいよ」
「あ、う、うん」
「一人でいるよりも二人でいるほうが、良いことも悪いこともよく考えるわ。ある意味結婚は、精神の訓練だったりするのよ」
「相変わらず面白い考え方ね」
見習いとはいえ、軍師であった紅美はなるほどと思わせる持論を展開する。
「軍師ならば、いろいろ経験しておいたほうがいいわよ」
「そうね。ありがとう」
紅美はふふんと自分は正しいという顔付を見せる。胡晶鈴も、知らないことを経験できると言っていた。
「ただ、蒼樹の気持ちに応えられるだろうか」
「嫌いじゃあないんでしょ? そのうち好きになるかもしれないし、そんなことまでいちいち考えなくてもいいのよ。あたしなんか夫の気持ちなんか考えたことないわよ? あたしが好きだからそれでいいの。蒼にいがあなたのことが好きで、あなたが結婚を了承すればそれでいいのよ」
「な、なるほど……」
強引だが説得力のある紅美に、星羅はようやく意思を固め屋敷を後にした。
「まったく世話が焼ける二人ね」
星羅を見送った紅美は、やっと蒼樹の思いが報われるのかと嬉しい気持ちになった。そしてこの嬉しい気持ちを夫の許仲典と早く共有したくてたまらなかった。
「久しぶりね。どうぞ、庭で話しましょうよ」
結婚してから紅美はゆったりと穏やかな顔つきになり、星羅に対しても温和な態度だ。夫婦生活が上手くいっているに違いないと星羅はホッとする。
郭蒼樹から求婚されたことを話すと「とっとと結婚しなさいよ」と嫣然として茶を啜る。
「わたしに蒼樹の奥方が務まると思う?」
「蒼にいの奥方?」
「ええ」
「蒼にいが奥方を求めてるって言ったの?」
「いや、そんなに具体的なことはなにも」
「あなたと一緒にいたいだけで、奥方になれとは言ってないのでしょう?」
「なのかなあ」
「結婚して仕事を辞めてくれとでもいった? 言わないわよねえ」
「今のところは」
「そんなことずっと言わないわよ」
「かなあ」
「もう! じれったいわねえ。他に好きな男とかいないんでしょ? 蒼にいはあなたのことずっとすきだったのよ? けちけちせずに結婚なさいよ」
「あ、う、うん」
「一人でいるよりも二人でいるほうが、良いことも悪いこともよく考えるわ。ある意味結婚は、精神の訓練だったりするのよ」
「相変わらず面白い考え方ね」
見習いとはいえ、軍師であった紅美はなるほどと思わせる持論を展開する。
「軍師ならば、いろいろ経験しておいたほうがいいわよ」
「そうね。ありがとう」
紅美はふふんと自分は正しいという顔付を見せる。胡晶鈴も、知らないことを経験できると言っていた。
「ただ、蒼樹の気持ちに応えられるだろうか」
「嫌いじゃあないんでしょ? そのうち好きになるかもしれないし、そんなことまでいちいち考えなくてもいいのよ。あたしなんか夫の気持ちなんか考えたことないわよ? あたしが好きだからそれでいいの。蒼にいがあなたのことが好きで、あなたが結婚を了承すればそれでいいのよ」
「な、なるほど……」
強引だが説得力のある紅美に、星羅はようやく意思を固め屋敷を後にした。
「まったく世話が焼ける二人ね」
星羅を見送った紅美は、やっと蒼樹の思いが報われるのかと嬉しい気持ちになった。そしてこの嬉しい気持ちを夫の許仲典と早く共有したくてたまらなかった。