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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第116章 116 知己
「だけど、どうかなあ。蒼にいは自分の子どもなんかはそんなに興味ないと思うわ。あなたと一緒にいるだけで満足そうだし。郭家も跡取りなんて発想ないしね」

 代々軍師家系である郭家は、誰か一人に、長男などに跡取りとして期待を寄せることはしない。華夏国の高祖の代から仕えているので、軍師を絶やすことなく子供を多く残そうとするがそれだけだった。
子や孫に軍師の才がなく、郭家から軍師が輩出されなければ、それでもう終わりなのだと割り切りがある。蒼樹以外にも郭家には同じ年代の子息子女が大勢いる。

もしも郭家に子がなければ、親類である紅美のように子だくさんの者が郭家に養子に出すこともあるだろう。

「歴史がある家柄はやはりすごいのね」
「まあ、二人で軍師なら子育てする余裕ないと思うわよ。むしろ出来たら連れてらっしゃい。育ててあげるから」
「ありがとう。頼もしいね」
「あー、おなか減った!」

 ますます貫禄が付いて行く紅美に、星羅は安心感を得る。帰り際、紅美に礼を告げると、彼女は少し照れ臭そうにぶっきら棒な態度をとる。
一度、許仲典を他の兵士がからかっているのを聞いたことがある。紅美を知っている兵士たちは、はっきりきついことを言う紅美を怖い嫁だという。許仲典は、そんな評判をものともせず、可愛い嫁だと臆面もなく話すのだ。

「いい夫婦ね」

 自分と蒼樹とはまた違う、紅美と許仲典のカップルはとても安心できる愛すべき夫婦だと思い星羅は胸が温かくなった。
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