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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第117章 117 慶明の死
 外が賑やかだなと顔を上げると、絹枝が珍しく慌てて「陛下がお越しです」と部屋に駆け込んできた。

「陛下が?」

 絹枝に支えてもらい身体を起こすと「よい。そのままで」と厳かな声がかかる。お忍びで陸家に見舞いに来た、王の曹隆明だった。見目麗しい隆明は、威厳を伴い堂々と立派な佇まいで静かに寝台のそばに腰かける。

「二人にしてもらえるか?」
「あ、はい。外で控えております」

 絹枝と共の者数名は部屋から出てそっと扉を閉じた。

「わざわざ、お越しくださるなんて。もったいない」
「よいのだ。そなたは朕に、いや、国家にも尽力してくれたな」
「とんでもない。やるべきことをやったまでです」
「いや、手を汚させてしまったな……」
「……。お気づきでしたか」

 慶明の暗躍を、隆明は知っていたようだ。

「おかげで傾国させることなく国難に立ち向かえたのだ。今更だが何か望みはあるか?」
「いいえ。星羅も軍師として立派になりましたし、徳樹も王太子となりこれ以上なにがありましょう」
「そうか。では、安心するがよい」

 二人は胡晶鈴の思い出話をすることはもうなかった。それでも同じ女を愛し、国を支えてきた彼らは身分を超えた同志だった。
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