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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第117章 117 慶明の死
 誰かしらが見舞いに来るので、陸家はいつもより賑やかで絹枝も忙しくしている。彼女にとって忙しいほうが、慶明が死んでいくことに集中しなくてすんでいた。

「やっと客が引きましたわ。こんなに人が見舞いにきたのでは余計に具合が悪くなってしまいますわね」
「いや、私のほうはもう疲れなど感じないのだ」
「そうなんですか?」
「ああ、君はもう休みなさい。疲れたでしょう」
「ええ、でも」
「もうじき私は逝くだろう。葬儀に体力を使うからちゃんと休んだほうがいい」
「まあ! あなたったら……」
「すまない。ああ、言っておかねば。今までありがとう。君と夫婦となって本当に良かったと思う」

 泣いてしまっている絹枝は、慶明の言葉にうまく返答することが出来なかった。教師だった絹枝は、ほかの女人にくらべ理性的で、感情の起伏が平坦だった。恋愛感情があるのかないのか分からないまま、慶明と結婚したが、長い夫婦生活の中で情は深まっている。

「では、隣で休んでいますから」
「うん。良く休むがいい」

 慶明が倒れてから、絹枝は寝台を運ばせて一緒の部屋で休んでいる。客の相手で疲れ切っているのか、絹枝は寝台に入るとすぐに寝息を立て始めた。
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