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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第122章 122 覧山国
「まあ、ここまでくるのに長い時間がかかっていますが」
「うんうん。我の代ではどこまでできるか分からないが。しかしやっていかねばな」

 ムアンの人柄がよくわかり、十分に良い外交ができたと思い蒼樹も星羅も安堵する。このまま覧山国の治世が落ち着いていれば、華夏国とは良い国交を結んでいけるだろう。

「さて難しい話はこれくらいにして宴の席を用意してある。どうぞ楽しんでいかれよ」

 宴会ではムアン王の王妃マハが慎み深くそばに控えている。肌の色は華夏国民と同じようで、顔立ちは西国人のように彫が深い。若く美しいマハは、緊張しているのか硬い表情で笑んでいる。そっとマハがムアンに耳打ちすると笑って彼は頷き、星羅に声を掛けた。

「王妃があなたは女人なのか男なのかと」
「あ、ええ、女人です」

 軍師省に入ってから、そもそも着飾ることに関心がなかった星羅はすっかり男装が板につき、髪飾り一つ、紅一つさしていない。蒼樹が隣でこっそり笑っている。

「マハには不思議なのですよ。女人が着飾らないことが」
「王妃さまのようにお美しければ、わたしも軍師などにならずにもっとその、飾ることに興味がわいたかもしれませんね」
「はははっ。星羅殿は着飾らなくとも十分お美しいですよ」

 ムアンのお世辞だろうが、王妃のマハがその言葉にぴくっと反応したように見えた。
 しばらく音楽や舞を楽しみ、この国独特の青い果実の料理などを食す。この果実は交易の品の一つになればよいと星羅は考える。
覧山国は山深く森の恵みが多く果実が豊富だ。日持ちするために干したものも多いようだ。また竹などで編んだ精巧な籠などは険しい山道で荷物を運ぶのに便利が良い。
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