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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第14章 14 都を後にして
見えなくなるまで見送ったあと、慶明はふうっと大きなため息をついた。そのため息の意味を春衣はよくわかっていた。
「慶明さま。顔色がよくないです……」
「ふふっ。薬師の私がそう言われてはしょうがないな」
慶明は、ふと春衣は晶鈴の子供の父親を知っているのではないかと考え、遠回しに尋ねた。
「晶鈴のもとに、男が尋ねてくることはなかったか?」
「さあ……。慶明さまくらいしか……」
「ふむ。では晶鈴が誰かにこっそり会いに行くことはなかったか?」
「実は朝早く出かけられることがありまして……」
「どこの誰と会っていた?」
「それは、わかりませぬ。後をつけて顔を見に行くわけにもいかず……」
「そうか……。誰かわからぬか……」
「あ、そうだ。御髪をすいて差し上げると、時々、晶鈴様のものではない綺麗な絹糸がついてました」
「絹糸……。色は覚えているか?」
「えーっと、黄緑色のようだったかしら?」
「黄緑色……」
身に着けられる衣装の色は身分によってほぼ決まっている。晶鈴の絶対父親の名を明かさないという態度と、糸の色で慶明はもしや相手は王族ではと怪しんだ。若い王族の男は太子、王子など数名いる。慶明はひそかに父親を探り当てようと心に決めていた。
「慶明さま。顔色がよくないです……」
「ふふっ。薬師の私がそう言われてはしょうがないな」
慶明は、ふと春衣は晶鈴の子供の父親を知っているのではないかと考え、遠回しに尋ねた。
「晶鈴のもとに、男が尋ねてくることはなかったか?」
「さあ……。慶明さまくらいしか……」
「ふむ。では晶鈴が誰かにこっそり会いに行くことはなかったか?」
「実は朝早く出かけられることがありまして……」
「どこの誰と会っていた?」
「それは、わかりませぬ。後をつけて顔を見に行くわけにもいかず……」
「そうか……。誰かわからぬか……」
「あ、そうだ。御髪をすいて差し上げると、時々、晶鈴様のものではない綺麗な絹糸がついてました」
「絹糸……。色は覚えているか?」
「えーっと、黄緑色のようだったかしら?」
「黄緑色……」
身に着けられる衣装の色は身分によってほぼ決まっている。晶鈴の絶対父親の名を明かさないという態度と、糸の色で慶明はもしや相手は王族ではと怪しんだ。若い王族の男は太子、王子など数名いる。慶明はひそかに父親を探り当てようと心に決めていた。