この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第18章 18 宮中にて
薬師の陸慶明は今回開発した新薬によって順調に出世していた。薬師長について、王族の診察にも同行することが可能となった。
「慶明でも緊張することがあるのだな」
薬師長の田豊成が白いひげを撫でながらからかうように慶明を見る。
「それは、そうでしょう。初めて王太子の私室に参るのですから」
「まあ、すぐ慣れる。そのうち王太子妃も診てもらうことになるからよく精進する様に」
薬草のにおいと、器具しかない殺風景な医局から、甘く濃厚な香が焚かれ、重圧な調度品が並びカラフルで目がチカチカするような布のドレープが慶明の目を覆う。きょろきょろする慶明に「わしも最初はそうじゃった」と田豊成は目を細めた。
「よく見ておくといい。自分の屋敷や、夫人への贈り物の参考になるじゃろう。手に入れることは叶わんとは言えな」
ここに国で一番最高級で、最先端で最も美しいものが集められているのだと思うと、慶明はただただ圧倒されるばかりだった。王太子の私室のまえで、取次の男に田豊成は声をかけると、すぐに頭を下げたまま部屋に入っていきすぐに戻った。
「どうぞ」
男が扉へ手を差し出すと、左右から戸が開かれ中へ促された。
「失礼いたします」
恭しくこうべを垂れたまま二人は中に進み王太子、曹隆明のまえでとまる。
「面を上げよ」
聡明な声がかかり慶明は顔をあげた。男なのに美しいと思わせる王太子の曹隆明に、慶明はまるでここの最高の調度品のようだと感想を持った。
「慶明でも緊張することがあるのだな」
薬師長の田豊成が白いひげを撫でながらからかうように慶明を見る。
「それは、そうでしょう。初めて王太子の私室に参るのですから」
「まあ、すぐ慣れる。そのうち王太子妃も診てもらうことになるからよく精進する様に」
薬草のにおいと、器具しかない殺風景な医局から、甘く濃厚な香が焚かれ、重圧な調度品が並びカラフルで目がチカチカするような布のドレープが慶明の目を覆う。きょろきょろする慶明に「わしも最初はそうじゃった」と田豊成は目を細めた。
「よく見ておくといい。自分の屋敷や、夫人への贈り物の参考になるじゃろう。手に入れることは叶わんとは言えな」
ここに国で一番最高級で、最先端で最も美しいものが集められているのだと思うと、慶明はただただ圧倒されるばかりだった。王太子の私室のまえで、取次の男に田豊成は声をかけると、すぐに頭を下げたまま部屋に入っていきすぐに戻った。
「どうぞ」
男が扉へ手を差し出すと、左右から戸が開かれ中へ促された。
「失礼いたします」
恭しくこうべを垂れたまま二人は中に進み王太子、曹隆明のまえでとまる。
「面を上げよ」
聡明な声がかかり慶明は顔をあげた。男なのに美しいと思わせる王太子の曹隆明に、慶明はまるでここの最高の調度品のようだと感想を持った。