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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第18章 18 宮中にて
「田医師よ。この者か? 有能であるようだな」
「ええ、陸慶明です。わしの後継ですな」

 改めて医局長の道を進んでいると自覚すると、慶明はますます意欲を燃やしていた。

「しばらくは見習いですが、すぐに王太子様や王太子妃様の体調の管理ができるようになるでしょう」
「そうか。頼んだ」
「はっ!」
「では、おかけくだされ」

 隆明が寝台に腰を掛けると、田豊成がまず脈を診て、慶明にも脈診をさせた。

「安定しておられます。心身ともに健やかなご様子で」

 慶明の見立てに、田豊成もうんうんと頷く。特に健康状態に異常は見られないため診察はすぐに終わった。緊張を解いた慶明はほっとしてまた王太子を眺めた。そして彼の着物が色づき始めたレモンのような美しい黄緑だと気づく。

「黄緑色……」

 下女の春衣が、晶鈴が逢引の後に黄緑色の絹糸を髪につけていたという話を思い出す。まさか相手が王太子であろうかと慶明はごくりと生唾を飲む。

「慶明、帰るぞ」
「は、はい」

 一瞬自分の世界に入っていたので、慌てて応える。

「では、また10日後に」
「よろしく頼む」

 毎日夕方になると、王族の健康診断を行うことになる。慶明はまだ王と王妃を診ることはないが、いずれ田豊成のように王を診ることになるだろう。彼が医局長となった時、王太子の曹隆明が王位についているかもしれない。
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