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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第19章 19 空っぽの小屋
無事に王太子妃は出産したが、生まれた子供は女児で世継ぎを産めなかったと呂桃華は落胆し、一層頑なさを増したようだった。曹隆明が心を砕きねぎらっても、彼女は無理に作った笑顔を見せるだけだった。
太極府でも王太子妃から男児が生まれるとの兆しがあったが、女児なのでしばらくは雑然としていた。とはいっても、みな感情的になることはなくすぐに次の未来を占い始めた。
祝いの儀や、臣下たちのあいさつなどが終りやっと曹隆明に一時の休息がやってきた。
「やっと会いに行ける」
最後に晶鈴に会ったのはいつだったろうか。何年も会っていない気がするぐらい遠い過去のような気がした。まだ夜が明けきらない早朝、居眠りしている兵士や女官に気づかれることなくそっと寝室を抜け出す。裏道と茂みを潜り抜け、晶鈴の小屋までたどり着く。
もうじき彼女は朝日を浴びるためにそっと抜け出てくるはずだ。遠くの空が闇を抜けようとしている。隆明は小屋の隣の大木の下で待った。
「遅いな……」
もう日の光が小屋を射している。小窓から中を伺うが、暗くてよく見えない。耳を澄ますが物音ひとつしない。
「夜が明けてしまう……」
どうしたのだろうと思っていると、後ろの茂みががさっと鳴ったので「晶鈴!」と振り向いた。
太極府でも王太子妃から男児が生まれるとの兆しがあったが、女児なのでしばらくは雑然としていた。とはいっても、みな感情的になることはなくすぐに次の未来を占い始めた。
祝いの儀や、臣下たちのあいさつなどが終りやっと曹隆明に一時の休息がやってきた。
「やっと会いに行ける」
最後に晶鈴に会ったのはいつだったろうか。何年も会っていない気がするぐらい遠い過去のような気がした。まだ夜が明けきらない早朝、居眠りしている兵士や女官に気づかれることなくそっと寝室を抜け出す。裏道と茂みを潜り抜け、晶鈴の小屋までたどり着く。
もうじき彼女は朝日を浴びるためにそっと抜け出てくるはずだ。遠くの空が闇を抜けようとしている。隆明は小屋の隣の大木の下で待った。
「遅いな……」
もう日の光が小屋を射している。小窓から中を伺うが、暗くてよく見えない。耳を澄ますが物音ひとつしない。
「夜が明けてしまう……」
どうしたのだろうと思っていると、後ろの茂みががさっと鳴ったので「晶鈴!」と振り向いた。