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M嬢のいる風景
第3章 魂を狩り取られた者たちの居る風景
 私は自宅のソファーに身を沈め、日がな一日過ごす。
 退屈はしない。様々な女たちの様子を選り取りに垣間見ていれば、時間などは立ち待ちに過ぎ去る。

 今、私の足元には二人の女がいる。
 Kという名の女と、Tという名の女だ。

 Kは私の右足の指を、Tは左足の親指だけをしゃぶっている。

 Kは、この家に飼われて一年になる。元々は六本木の有名なキャバクラで№1を維持し続けていた。
 弾力のあるふくよかな胸と、きゅっと絞れた腰つきの女で、コケティッシュな微笑みで男どもを虜にしていた。

 そのKは、今はぶくぶくと太っている。
 私は、Kの脳に「豚に憧れる」という価値観を植えつけた。
 豚は飼い主を選べないという私の一言で、Kは私の自宅に飼われ続けている。

 整っていた鼻筋は、鼻フックを付け続けられた結果、完全に上を向いてしまっている。
 愛らしかった大きな目は、たっぷりとついた頬肉に押し上げられ細くなってしまった。
 言葉も「ぶぅぶぅ」としか言えなくなっている。

 Kは、もっともっと太りたいと願っている。餌をたくさん欲しいと願っている。
 餌をもらうためには、私の右足の指を丹念に舐め続けなければならない。
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