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第69章 最終章　闇のシナリオのヒロイン誕生への道

６



まさか、その時から
もう闇のシナリオに
綾子が登場させられているとは
本人も気づいていないだろう。


プロローグの登場人物紹介、
といったところだろうか。


ヒロインの綾子は、浪人生活から
晴れて合格して地方から出てきた
まだ二十歳にもならない女子大生。
彼氏もでき、初体験を済ませたばかりだ。


ようやく手に入れた花の女子大生ライフも
性愛に満ちた目眩く日々をも
謳歌している、、、はずだった、、、


その彼女が、親友に誘われて、
出かけた高原の別荘地で、
とある窮地に陥っているところを
助けてくれた勇敢な好青年は、、、


撮影で訪れていた、
人気若手俳優、、、
綾子も一度出会ったことがある
イケメンくんと、運命の再会だった、、、


綾子が実名で登場するその
闇のシナリオは
虚実が入り混じるそんな展開だった。


もちろん書いたのは健一、
プロデュースはヒロフミだ。
そして、主演男優の
イケメンくんはすでに
役になりきっていた。


ヒロフミがカオルを連れて
他の出演者へと挨拶に行き、
わざと綾子とイケメンくんを
二人っきりにしたのだ。
それが最初の出会いだ。


その甘く端整な顔立ち、
切れ長の目、
ソフトな話しっぷり、
楽屋での彼は親しみやすく、
人気俳優というよりは、
誠実な好青年にしか見えないだろう。


おそらく綾子が出会った中でも
人生一番のイケメンに違いない。
見つめられて、
綾子の顔が照れて
みるみる赤くなってしまった。