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真紅の花嫁
第10章 蒼い火花


「な、なに?
    なにをしたの?」

「手錠。
  聞き分けのない真波さんを、おとなしくさせる道具」

「ちょ、ちょっと……ふざけないで。
   すぐ外しなさい。
     あ、あ、きゃあっ!」

乱暴に押された。
片手に手錠をぶらさげたまま、後ろによろける。

傍にある椅子に、どさりと倒れ込んだ。


目の前に、奪われたばかりのスタンガンを突きつけられる。

「スイッチって、これかな?」


バチバチバチッ――

不気味な音を伴って、先端の電極の間に青白い火花が散った。


「ひっ」

恐怖で身がすくむ。

相手に立ち向かう勇気も、逃げようとする衝動も、瞬時に霧散した。
強く歯を噛みしめていないと、かちかちと鳴りそうだった。


もう片方の手も、強引に背もたれの後ろに回され、硬質なリングをはめられる。
背中に椅子を抱える感じで、身動きできなくなった。


「危ないなあ。
  こんなおもちゃを持ち歩いちゃ駄目だよ」


もう一度、バチバチッと電気の火花を散らす。

少年の瞳の中に、火花よりも蒼く危険な光が浮かんだ。




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