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真紅の花嫁
第16章 仄白い指
「……くぅ……っ」
唇を強く引き結ぶ。
淫らな喘ぎ声を出してしまいそうだった。
なかなか次に進もうとしないため、来館者たちの中には不審に思って、ちらちらと真波をうかがう者もでてきた。
ここで立ち止まっていては、よけい目立ってしまう。
「で、では、次の作品に――」
おそるおそる足を踏み出した。
腰をかがめないようにするのが精一杯である。
もしもローターを落としてしまったら、おしまいだった。
それなのに――
衆人のなかを意識すると、よけい感じてしまう自分に絶望する。
(いつまで、こんなことを続けるの?)
気が遠くなる思いで、真波は懸命にギャラリートークを続けた。