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真紅の花嫁
第18章 漆黒の少年
亮の肉情に舌を絡めながら、古い写真の中の美少年を思い出す。
綾乃夫人と見つめ合う亮と瓜二つの少年は、門倉志郎の息子、将人に間違いないだろう。
他に考えられない。
朝山紫郎の絵は、おそらく綾乃と将人の合作なのだ。
二人の関係を隠すため、父親の門倉志郎が画家に成りすました。
口止め料として後々まで金銭の要求をした。
将人と綾乃。当時十六歳の少年と、三十三歳の夫人。
最初は親子を疑った。
結婚前の綾乃夫人と門倉志郎の間に出来た子が将人ではないのかと。
だが――
綾乃夫人の瞳にあるのは、親が子に向けるものではなかった。
恋する相手への眼差しだった。
ふたりの年齢差は、いやでも亮と紀美子を思い起こさせる。
そして――
亮の父、貴人の生れた年。
亮の〈復讐〉が、おぼろげながら見えてくる。