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真紅の花嫁
第19章 真紅の花嫁


ドアを開けると亮がいた。



背徳に慄いていた心臓が、一瞬で別の鼓動となる。
抱きついてキスしたい気持ちを押さえて、ドアの脇でじっと待つ。

けれど、なかなか入ってこようとしない。



「入って」

真波が招くと、ようやく、にこっと笑った。



高級ホテルのスイートルーム。
結婚式の夜、新郎と新婦がふたりきりで過ごすはずの部屋だった。

ロマンティックな内装の広々とした空間。
全面のガラス窓から美しい夜景が拡がり、奥には天蓋付きの大きなベッドが見える。


肝心の新郎はソファでだらしなく眠っていた。
真波が陽介の飲むワインに睡眠薬を入れたのだ。



「すごく綺麗だよ、真波」

亮がまぶしそうに真波を見た。



真波は昼間着たウェディングドレスをふたたび身につけていた。
結婚式の装いで、これから真実の誓いを交わすのだ。


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