この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
真紅の花嫁
第4章 萌黄の令嬢

真波は少ししゃべりすぎたことに気づき、こほん、と咳をしてから、

「この画家について、ずっと研究していたの。
ほかに知りたいことはありますか?」

「うーん、そうだなあ。これ」

と絵の左下を指して、

「人の影みたいに見えるんだけど。これってなんだろう」

アサヤマという画家のサインの横にある二本の暗い筋。風景画の隅に描かれたそれは、確かに、キャンバスの外側の立つ二人の人物の影のようでもあった。

「そうですね。
紫郎には当時中学生だった息子さんがいましたから、絵を描く父親の傍にいたこともあったでしょう。父と子の影、と解釈してもいいのかも知れません」

「なるほどねー」

大して感心もしない口調だった。

「一九五九年に死亡ってあるけど、じゃあ、療養して数年で亡くなったんだ」

「ええ。高崎に移ってからは絵は描かず、四十九歳で紫郎は死んでいます。
朝比奈市にいた一九五一年から五三年までの四年間が、紫郎の活躍時期ということなりますね」

「写真はあるの?」

「紫郎の作品は絵画だけです」

「そうじゃなくて、この画家の写っている写真。
どんな人だったのかなって」

「それなら、いくつか見つかってますよ。

そうね、この夏に朝山紫郎の特設展をやるんだけど、よかったら見にこない?
その時には、紫郎の肖像写真も、さっき言ったたくさんの風景画も展示するわ」

「そうだね。考えておくよ」




亮が美術館のアルバイトに応募してきたのは、それからしばらしくてからだった。

真波の顔を見て、いたずらっ子のように、にこっと笑った。


/286ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ