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真紅の花嫁
第5章 純白のドレス
鏡には、純白のウェディングドレスを身に着けた真波が映っていた。
いつもはひっつめにしている髪を、ゆるやかなアップに結ってもらい、髪飾りもつけた。
耳には真珠のイヤリング。
肘まである白い手袋をした手には、本番さながらのブーケ。
どれもポーズを取るための借り物だが、悪くなかった。
両肩を出したAラインのデザインである。
まだ細かなアクセサリーはないが、細く絞られたウェストから長い裾にかけての流れるような曲線は、息を呑むほど美しい。
「まあ、とってもおきれい」
係りの女性がため息まじりに言ってくれた。
お世辞でもうれしかった。
後ろに立っている陽介と、鏡越しにちらっと眼を合わせる。
陽介も満足そうだ。
真波は気恥ずかしくて、はにかんだ笑みを浮かべてしまう。
今日はウェディングドレスの本仮縫い。
半分ほど仕上がったドレスを合わせるために、陽介とやってきた。
実際に使うシルクサテンの生地なので、仮縫いの時とは輝きが違った。