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真紅の花嫁
第6章 蜜色の警告
金縛りにあったように立ちすくんでいた真波の硬直が解けた。
「あなたたち、なにをしているの!」
悲鳴じみた叫びに、二人の顔が同時にこちらを向いた。
「いやああっ!」
綾音は両手で顔を覆って、その場にうずくまった。
細い肩をぶるぶると震わせる。
対して、亮はあわてた風もない。
平然と真波を見返してくる。
「綾音。あっちで待ってろ」
亮が命じると、綾音は顔を覆ったまま、小走りに公園の方に去っていった。
制止する暇もなかった。
白いワンピースの後ろ姿が、夜闇の中に消えた。
真波は息を整え、あらためて亮と向かい合った。
「なにをしているのって聞いてるのよ」
「なにをって……真波さん、見てたんでしょう?」
亮は片頬を上げただけだった。
まったく悪びれていない。
憎らしいくらい平然としていた。
いきなり下の名前を呼ばれたことを気にする余裕もなく、
「こ、こんなところで……」
言いかけて、首を振る。
「どこであろうと、やっていいことじゃないでしょう」
高校生のくせに、
と続けようとした台詞を飲み込んだ。
年齢など関係ない。
付き合うのは勝手だが、先ほどの行為は、いくらなんでも度をこしていた。