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真紅の花嫁
第6章 蜜色の警告
「手を離しなさい。大声をあげるわよ」
情けないことに、声が震えた。
だが、騒げば、警備員が駆けつけるだろう。
こうしている間にも、定期的な見回りに来てくれるかもしれない。
真波の二の腕をつかんだままの亮と、にらみ合いになる。
心臓がバクバクしていたが、眼をそらせたら負けだと思い、懸命に眦《まなじり》に力を込めた。
亮の双眸は深い湖のようだった。
透明感があるのに、底が知れない。
どこか暗い虚無をたたえているようで、見つめているうちに吸い込まれそうになる。
少年の冷たい視線に、ふと魅了された。