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真紅の花嫁
第1章 深緑の美術館
田辺は「あ、そうだ」と手を叩いた。
「こちらは今度、インターンで来ることになった姫川さん」
「姫川《ひめかわ》綾音《あやね》です。よろしくお願いします」
後ろにいた若い女性が、ぺこりとおじぎする。
インターンなら二十歳をいくつか超えているだろうに、小顔の童顔は高校生といっても通用しそうである。
明るい色のシャツブラウスに、膝丈のプリーツスカート。
スカートから伸びる脚のラインは溌溂として、すらりと長い。
緊張のためか表情が硬いものの、育ちの良さのにじみ出る美人だった。
なるほど、これが噂の子かと、真波は笑顔を返す。
「矢崎です。こちらこそ」
「矢崎さんは企画係の方《かた》ね。
こわーい学芸員さんのなかじゃあ、
めずらしく優しいから、なんでも聞くといいよ」