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Q 強制受精で生まれる私
第13章 5.0度目
 中に入ると案の定画面に表示されている部屋はどれも古くさく、1500円付近とお値段相応なものばかりだった。私を置いてきぼりにして三人はあまり代わり映えしない部屋の中から、どの部屋がいいだのセンスまでダサい等揉めながら選んでいる。散々文句言ってた割にはどこか楽しそうに選んでいて、どうでもいい私はひたすら待ちぼうけをくらう。

「おい、何呆けているんだよ。決まったから行くぞ。」

「…散々待たせておいてその言い方は無いんじゃない?」

 いやみに返事は返ってくることはなく、私達は無心でエレベーターに揺られ、廊下を歩き、それぞれの部屋にたどり着いた。あれだけ部屋決めに喧しくしていたというのに、結局隣同士の部屋を選んだらしい。同じグループとはいえ顔見知りが隣の部屋で同じことしているのはどこか嫌気が射すけど、部屋なんてどうでもいいと思っていた私に文句を言う資格はない。

「それじゃ…また後で。」

「えぇ。また後でね。」

 まるで未来への希望を胸に抱くかの様に、マオちゃんは強張った顔をしながら再会の約束をして、チャラ男と共に部屋へ消えていく。私はもう会うつもりは無いけど、つい流れに乗せられてしまい思ってもいない返事をしてしまう。その多少の罪悪感からか、面倒臭い娘だったけど無事に事が終わればいいなと僅かながら祈ってしまう。
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