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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第3章 血まみれ道化師と血みどろお人形
「……先ほど、号外が出た」
「『しかばね新聞』ですよね。僕も読みましたよ。なかなかに攻めた内容でしたね、血まみれ道化師は、赤い目の少年!」
「はへ、」
「仕方がない。ひとのくちに戸は立てられないからな。しかしまだ犯人と決まったわけではないのに」
「いえいえ、やはり、大衆はそれくらい愚かでなければ!」

 陽色のことを、その愚かな大衆のひとり、頭のつくりは小さな子ども、と思っているものか、ふたりのやりとりはあくまで気安い。

 それより、犯人、とはどいうことであろうか。

 まさか、己が先ほどの婦人を殺した犯人だと、あの道化師であると、疑われているのでは。

 ようやくそれに思い至り、陽色はすう、と血の気の引く思いがした。まさか、まさか。けれど、咄嗟に弁解の言葉すら出てこない。あそこに居合わせただけであると、云って果たして信じて貰えるものか。

 がんがんと響いていた醜い声を思い出す。ひとごろし。あれだけたくさんの声が、陽色をひとごろしだと信じていた。ひとごろし。ひとごろし。

「あれ、顔色が真っ青ですよ。大丈夫?」
「……、」

 振り仰いだ天使の顔は、微笑んでいる。

 あまりにきれいで、あまりに、あまりに恐ろしい。天使とは地獄への使者でもあったのだ。陽色はそれを初めて知った。

 喉がきゅう、と締まる。このまま息の根も止まってしまいそう。細い指で細い喉を庇うように覆う。

 と。

 次の瞬間、遠くから、高らかな足音が聞こえてきた。
 目の前のふたり、金髪の方は笑みを深め、眼鏡の方はいよいよ首を垂れ嫌そうな顔をする。

 空間を割るように、足音は近づいてくる。

 かつん! かつん!
 かつん!

「藤堂直! 君、また罪のないひとに、いいがかりをつけたのかね!」
「……露崎、もう少し足止めできなかったのか」
「いやだって一応……一応、民間人ですから! 手荒な真似できませんよ!」

 ばたん。
 盛大な音を立てて灰色の部屋が切り取られた。
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