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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第3章 血まみれ道化師と血みどろお人形
「さて、相変わらず貴方は僕の想像通りに動いてくれるわけだけれど、やっぱりこの子を迎えにきたんですか」

 騎士か王子でも気取っているんですか、似合わないですねえ、お嬢さま。大人しく塔の上に引きこもっていたらどうです、お人形みたいに。

 穏やかな声音が、空間に鋭く突き刺さる。彼女の薄いくちびるが、ひくり、引き攣った。

 どうやらこのふたりは因縁浅からぬ関係、らしい。

 彼女は思い切り顔を歪め、雨宮から顔を背け、艶やかな声で語気を強めた。

「藤堂直、君、ただの子どもを相手にするほど、暇なのかね。警察と云うのは、やはり、とんだ税金泥棒じゃあないか!」
「容疑者の取り調べも俺たちの仕事だ」
「容疑者などと、思ってもいないくせに?」

 眼鏡の青年が、酷く嫌そうな顔をする。雨宮は儚げな美貌を綻ばせ、何とも楽しそうにうふふと笑い声を立てた。

「どうして。お嬢さま、出来の悪い執事に教えてくださいませ。この子が血まみれの布を被って、被害者の近くに立っていたのを、大勢のひとが見ているんですよ」
「だが、それだけじゃあないか」

 彼女は細い指先で、突然陽色の手を取った。右手。利き手だ。

「この子はやけに血なまぐさい。おおかた連れてこられてから手も洗っていないのだろうね」

 それなのに、この手はきれいだね。

 今日の彼女は手袋を嵌めていない。思いのほか低い温度が、陽色の冷たい手の熱と混ざる。

「どうやって、手も汚さずに、ひとひとり殺して内臓を掻き出したというの。手袋? それならばその手袋は見つかったのかね。それから、凶器は? まさかこんなちいさな子どもが、素手で絞め殺して内臓をかきだしたなんて云わないよね。一体何で殺したんだい。そもそもその取り出した内臓は何処へいったの。あの近くには、サアカスの入っていた建て物と、いくつかの安宿くらいしかないよ」

 あまりに杜撰だ、ふざけているのかね!

 まるで戯曲の一幕のような台詞が、ともすれば大袈裟に見える動作が、やたらめったら似合っている。彼女はぴくりと片眉を上げた。陽色を守るように、もう一度、ぎゅ、繋いだ手を握りしめる。
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