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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第3章 血まみれ道化師と血みどろお人形
「それともほんとうに私に喧嘩を売っているの!」
「そんなに怒鳴らないでくださいよ、お嬢さま。混じりもの同士、仲良くしましょう。それに僕は、」

 貴方ががご執心のお人形が、どんな子なのか知りたかっただけ。

 まるで悪戯が成功した子どもだ。あまえているのかというほどあいらしい声色で、華麗に喧嘩を売りつけて、雨宮は立ち上がる。あくまでも悠々とした動作で、彼女の細い顎に触れた。

 座っていたせいでそうは見えなかったが、雨宮はどうやらかなり上背があるようだ。成長期半ばの陽色はもちろん、それよりも幾らか背の高い彼女が、見上げねばならぬほどには丈長い。自然、彼女の顎を持ち上げるような恰好になる。

 あの、あいらしい、お人形さん。

「お嬢さまが来るのが早かったから、どんな子なのか全然わからなかったですよう、」
「お生憎さまだね! 明かしてやるか!」
「もう、酷いです。僕も貴方も、変わらないのに」
「変わらないものかね、私たちと君の共通点は、髪とひとみの色が少し変わっていることだけだよ!」
「そこが一番重要なんじゃないですか、ね、お嬢さま。貴方もわかっているんでしょ」

 己がどうしてあんな塔で、お人形のようにじっとしていなければならないのか、なんて。

 すみれ色と青色のひとみが、ぎらり、ぎらり、絡み合った。

 暫くの睨み合いの末、白い後ろ姿が扉の向こうに消えてゆく。

 彼女はじっと、その後ろ姿を見つめていた。
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