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RINZIN ー隣人ー
第1章 プロローグ
『──ピーンポーン』
(──お? 誰だ、こんな時間に……)
とあるアパートの一室──時刻は午後九時。たったいま仕事から帰宅した神武涼太《こうたけ りょうた》は、まるで部屋に入ったのを見計らったようなタイミングで鳴ったそのチャイムに首をかしげる。
スーツ姿のままインターホンのモニターをのぞき込むと、そこには見知らぬ女が立っていた。
(ん……? セールスの勧誘か……?)
「──どちらさまでしょうか?」
涼太がマイクに向かってそうたずねると、少し間を置いてその女がこう応えた。
『──あっ、夜分遅くにすみませんっ……。あの私、きのうとなりの部屋に越してきた北野、といいます。引っ越しのごあいさつにうかがいました……』
(なるほど……そういうことか。わざわざご丁寧なこって)
都市部のワンルームアパート。今どき隣人に直接あいさつに来るのもめずらしい気がする。亮太がこの部屋に住まうようになってもう三年が経つが、こんなことははじめてだ。
「──そういうことでしたか。わかりました少々お待ちください……」
涼太は女にそう返事をして、玄関へと向かう。
(……っと、その前に、一応)
ただの隣人とはいえ、相手は女性。顔ははっきりと認識できなかったものの、モニター越しの雰囲気から察するにどうやら若い女のようである。涼太は洗面台へ行き、鏡の前で身だしなみを確認する。
(てかそろそろ髪切りてぇなぁ……)
涼太はそんなことを思いながら、若干乱れていた髪型を整え、玄関のドアを開けた。
「──お待たせしました」
(──お? 誰だ、こんな時間に……)
とあるアパートの一室──時刻は午後九時。たったいま仕事から帰宅した神武涼太《こうたけ りょうた》は、まるで部屋に入ったのを見計らったようなタイミングで鳴ったそのチャイムに首をかしげる。
スーツ姿のままインターホンのモニターをのぞき込むと、そこには見知らぬ女が立っていた。
(ん……? セールスの勧誘か……?)
「──どちらさまでしょうか?」
涼太がマイクに向かってそうたずねると、少し間を置いてその女がこう応えた。
『──あっ、夜分遅くにすみませんっ……。あの私、きのうとなりの部屋に越してきた北野、といいます。引っ越しのごあいさつにうかがいました……』
(なるほど……そういうことか。わざわざご丁寧なこって)
都市部のワンルームアパート。今どき隣人に直接あいさつに来るのもめずらしい気がする。亮太がこの部屋に住まうようになってもう三年が経つが、こんなことははじめてだ。
「──そういうことでしたか。わかりました少々お待ちください……」
涼太は女にそう返事をして、玄関へと向かう。
(……っと、その前に、一応)
ただの隣人とはいえ、相手は女性。顔ははっきりと認識できなかったものの、モニター越しの雰囲気から察するにどうやら若い女のようである。涼太は洗面台へ行き、鏡の前で身だしなみを確認する。
(てかそろそろ髪切りてぇなぁ……)
涼太はそんなことを思いながら、若干乱れていた髪型を整え、玄関のドアを開けた。
「──お待たせしました」