この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
RINZIN ー隣人ー
第6章 第五話
「──あー食った食った……ん?」
食事を終えた涼太がふと芽生に目をやる──するとフォークを握ったままじっとうつむいている。そしてかすかに聞こえてくるすすり泣くような声。
「なんだよ……まさか泣くほどうまかったか? さすがにそこまでの味じゃねぇと思うが……」
「ウッ……ううん。おいしいし、なんかあったかくて……」
「……そりゃラーメンだからな。よし! 腹もいっぱいになったし帰るか! 大将、お勘定~」
そして二人はラーメン屋を出た。車に乗り込んでも芽生はうつむいたままだ。涼太はそんな芽生の右手を無言でそっと握った。
「涼くん……私変でしょ。変だと思ったでしょ……?」
「ん……? そうか? まあ変態だなとは思ってるけどな」
「あはは……なにも聞かないの?」
「うん? だって俺らおとなりさんだしな。いやちがうな、『俺の』おとなりさんか」
「へへ……また言ってる。よくないよほんとそういうの」
「きょう泊まってけよ。言うてとなりだけど」
「うん……」
二人を乗せた車が、二人の住むエステート池川へと向かっていく。
これが二人の運命のほんのはじまりに過ぎないことを、このとき涼太はまだ知らなかった。
食事を終えた涼太がふと芽生に目をやる──するとフォークを握ったままじっとうつむいている。そしてかすかに聞こえてくるすすり泣くような声。
「なんだよ……まさか泣くほどうまかったか? さすがにそこまでの味じゃねぇと思うが……」
「ウッ……ううん。おいしいし、なんかあったかくて……」
「……そりゃラーメンだからな。よし! 腹もいっぱいになったし帰るか! 大将、お勘定~」
そして二人はラーメン屋を出た。車に乗り込んでも芽生はうつむいたままだ。涼太はそんな芽生の右手を無言でそっと握った。
「涼くん……私変でしょ。変だと思ったでしょ……?」
「ん……? そうか? まあ変態だなとは思ってるけどな」
「あはは……なにも聞かないの?」
「うん? だって俺らおとなりさんだしな。いやちがうな、『俺の』おとなりさんか」
「へへ……また言ってる。よくないよほんとそういうの」
「きょう泊まってけよ。言うてとなりだけど」
「うん……」
二人を乗せた車が、二人の住むエステート池川へと向かっていく。
これが二人の運命のほんのはじまりに過ぎないことを、このとき涼太はまだ知らなかった。