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RINZIN ー隣人ー
第6章 第五話
「フォーク? あるけど……『大将ー! フォークひとつちょうだい』」
「あ、ありがとう……。ごめんね、私お箸がちょっと苦手で……はずかしいよね」
「おう、そっか。気にすんな。腹に入っちまえばいっしょだろ? それにもう俺らに恥ずかしいことなんてねぇしな」
「涼くん……」
「なんだよ」
「やっぱり……やさしいね」
「うるせえはよ食え麺のびるぞ」
「うん…♡」
箸使いが苦手なものにとって麺類はとくに鬼門なのだろう。それにしても──フォークでラーメンをすするその芽生の所作は、幼いを通り越してまるで本当に子どもの食事風景を見ているようである。涼太はそのことに違和感を覚えつつも、あえてそれ以上は触れなかった。
「──しっかし、涼ちゃんが女連れてくるなんてはじめてじゃないか? まさかほんとにおとなりさんなワケねぇだろ?」
「あ? だってこんな地味なラーメン屋連れてきたらフラれちまうからな」
「おいおい! そりゃねぇだろ涼ちゃん……昔はもうちょっと素直だったのになあ!」
(だって俺が自分でもいちばんおどろいてんだよ。ここに女連れてくるなんて──)
そもそも涼太が自ら女性を食事に誘うこと自体がめずらしいことであり、このラーメン屋に連れてきたことは過去に一度もない。もちろんアプリで出会った女と初回に食事をすることはあっても、場所は相手に任せるか、適当に近場で選んでいたからだ。
「あ、ありがとう……。ごめんね、私お箸がちょっと苦手で……はずかしいよね」
「おう、そっか。気にすんな。腹に入っちまえばいっしょだろ? それにもう俺らに恥ずかしいことなんてねぇしな」
「涼くん……」
「なんだよ」
「やっぱり……やさしいね」
「うるせえはよ食え麺のびるぞ」
「うん…♡」
箸使いが苦手なものにとって麺類はとくに鬼門なのだろう。それにしても──フォークでラーメンをすするその芽生の所作は、幼いを通り越してまるで本当に子どもの食事風景を見ているようである。涼太はそのことに違和感を覚えつつも、あえてそれ以上は触れなかった。
「──しっかし、涼ちゃんが女連れてくるなんてはじめてじゃないか? まさかほんとにおとなりさんなワケねぇだろ?」
「あ? だってこんな地味なラーメン屋連れてきたらフラれちまうからな」
「おいおい! そりゃねぇだろ涼ちゃん……昔はもうちょっと素直だったのになあ!」
(だって俺が自分でもいちばんおどろいてんだよ。ここに女連れてくるなんて──)
そもそも涼太が自ら女性を食事に誘うこと自体がめずらしいことであり、このラーメン屋に連れてきたことは過去に一度もない。もちろんアプリで出会った女と初回に食事をすることはあっても、場所は相手に任せるか、適当に近場で選んでいたからだ。