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RINZIN ー隣人ー
第9章 第八話
涼太の唐突な告白──二人のあいだにしばしの沈黙が流れていた。
(あ、あれ……なんでなにも言わねぇんだよ……一番困るんだが……)
芽生は涼太の腕に抱かれたまま、すっかり押し黙ってしまう。どうせいつものように「そういうトコだよ」と茶化されるのをどこかで期待していた涼太は戸惑いを隠せない。
「──ウッ……ウウッ……ふぇ……」
しばらくして、芽生のすすり泣く声が聞こえてくる。
「芽生……? どした? 泣いてるの……?」
そう問いかけるも、芽生は余計にさめざめと泣いてしまうばかり。
「お、おい……頼むから泣くなよ……」
「ふ、ふぇぇぇぇん……」
(なんなんだよマジで……泣くとか勘弁してくれよ……)
涼太は女の涙が心底苦手である。職場などで女が泣くのを目にするたび、いつも内心うんざりしていた。それは女にのみ許された特権、とでも思っているのかもしれない。
結局のところ、泣かれたらどうしていいかわからないのだ。とくに涼太のようにその歳まで他人と深い関係性を築いてこなかったような男にとってはなおさら、理由はどうあれ女の涙は面倒が先にくる。
「はいはい俺に告られたのが泣くほど嫌だったか……ごめんな? さっきのは忘れてくれ……だからもう泣くな……」
「ち……ちがうの……ウッ……」
「ん……? いいよ気ぃ遣わなくて。おっさんが調子乗って悪かった」
「はじめて……だったから」
「え……?」
「付き合おうって言われたの……涼くんがはじめてだったからっ……」
「う、うそだろ……?」
(んなわけあるかあ!)
芽生の恵まれた容姿、人懐っこさ、年齢──どれをとっても、これまで男に告白されたことがないなどとは到底信じられない。だとしたら芽生の周囲に居た男たちは相当目が悪いかただのバカにちがいない。そのくらい、このレベルの女子が学校や職場に居たら引く手あまた、男が放っておくはずがないのだ。
(あ、あれ……なんでなにも言わねぇんだよ……一番困るんだが……)
芽生は涼太の腕に抱かれたまま、すっかり押し黙ってしまう。どうせいつものように「そういうトコだよ」と茶化されるのをどこかで期待していた涼太は戸惑いを隠せない。
「──ウッ……ウウッ……ふぇ……」
しばらくして、芽生のすすり泣く声が聞こえてくる。
「芽生……? どした? 泣いてるの……?」
そう問いかけるも、芽生は余計にさめざめと泣いてしまうばかり。
「お、おい……頼むから泣くなよ……」
「ふ、ふぇぇぇぇん……」
(なんなんだよマジで……泣くとか勘弁してくれよ……)
涼太は女の涙が心底苦手である。職場などで女が泣くのを目にするたび、いつも内心うんざりしていた。それは女にのみ許された特権、とでも思っているのかもしれない。
結局のところ、泣かれたらどうしていいかわからないのだ。とくに涼太のようにその歳まで他人と深い関係性を築いてこなかったような男にとってはなおさら、理由はどうあれ女の涙は面倒が先にくる。
「はいはい俺に告られたのが泣くほど嫌だったか……ごめんな? さっきのは忘れてくれ……だからもう泣くな……」
「ち……ちがうの……ウッ……」
「ん……? いいよ気ぃ遣わなくて。おっさんが調子乗って悪かった」
「はじめて……だったから」
「え……?」
「付き合おうって言われたの……涼くんがはじめてだったからっ……」
「う、うそだろ……?」
(んなわけあるかあ!)
芽生の恵まれた容姿、人懐っこさ、年齢──どれをとっても、これまで男に告白されたことがないなどとは到底信じられない。だとしたら芽生の周囲に居た男たちは相当目が悪いかただのバカにちがいない。そのくらい、このレベルの女子が学校や職場に居たら引く手あまた、男が放っておくはずがないのだ。