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RINZIN ー隣人ー
第9章 第八話
 「──それは俺が決める。俺の気持ちだから」
 「え……?」
 「俺がお前を……芽生のことをどう思うかは俺が決めることだろ。それをお前が勝手に決めんなよな」
 「りょう……くん……」
 「……なんてな。カッコよかったからお前のパクっちゃった。へへ」
 「……もぉ」

 そして涼太は芽生の首筋にそっとキスをする。

 「りょ、りょうくん……? ダメだよぉ……ぁっ♡」

 短いキスを愛撫のように、芽生の首筋から鎖骨にかけて繰り返す涼太。

 「あっあっ……♡ ダメぇ……りょうくんっ……」
 「ん……? なにがダメ……?」
 「そんなふうにされたら……すきになっちゃう……からっ……」
 「いいじゃん。俺はもう好きだし」
 「ウッ……ふぇ……ぇぇん……」

 芽生はその大きな瞳を潤ませ、再び泣きはじめた。女の涙が苦手な涼太に、今度はそれがどう映ったのだろう。

 「いいよ。あとは芽生が決めて。俺はもう決めたから。今すぐじゃなくてもいいし」
 「そ、そんなの……絶対ダメ……私なんかっ……」
 「だからいいって。決まったらおしえて。それまではお隣さんでいいから」
 「ただのお隣さん……?」
 「んー……そだな。えっちもするただのお隣さん、つーことで。そもそも誘ってきたのそっちだし」
 「……もぉ」

 二人は口づけを交わす。それは今までで一番静かで、そして熱を帯びたキスだった。

 それから再び身体を重ねあう二人。激しくお互いを貪りあったのち、涼太が眠りについたのは明け方のことだった。

 (涼くんの寝顔……子どもみたい)

 一方の芽生は眠れないのか、となりで寝息を立てる涼太をじっと見つめ、その頭を撫でていた。

 (涼くんありがと。でもごめんね。やっぱり……私は──)
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