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人妻教師の危険な情事 〜隣人青年に堕とされる夏〜
第6章 前夜4 お願い
ピンクと紫の表紙の本は、綾子にも特別なものだった。

「ちょっと前に、友達から借りて読んだばっかりだったから。
ちょうどいいや」
「これはは、朗読に向いてないかもよ」
「でも俺、他の作者の人、わかんないから、
これでいいです。ベストセラー作家だし。
世界的なあのなんとかって賞だって取ったんですよね」
「それはまだじゃないかしら」

そのままリビングに戻った二人は、
向かい合うようにしてソファに座った。
2本めの赤ワインももう終わろうとしている。

「で、どれを読めばいいかしら」
「ここ、ちょうどしおりが挟んである。」
「え〜、それはダメよ」
「なんでです」
「だって、、、」


綾子は昨夜ちょうどその本を読んでいたのだ。
あの日、表参道で、、

綾子は今と思い出の間をいったりきたりしていた。
あの日、あの人が、、
持ってきてくれた。

「これ、またあげるよ。好きだったんだよね、
これを読む綾子の声がさ」

そうだ、女子大生になったあの夏、
アタシが、いろいろなことを経験したあの夏、
いつも傍にはあの人がいたんだ。
あの人から、いっぱいのこと学んだ。
それは今でも心でもカラダでも覚えている。

あの夏、彼が買ってくれたんだ。
その本は、その思い出をくっきりとさせてくれる小説だ。
せがまれて読んであげた。
アタシの声、大好きなんだって、いつも言ってくれた。
「声だけじゃないよ、、」
読んでいる最中なのにあの人、、、
アタシのカラダを、、、

昨夜、この本を読みながら
あの人のことを、あの夏のことを思い出し、
独りで自分を慰めてしまった。

「声だけじゃないよ、、」
あの人が愛してくれたアタシのカラダを
あの人が愛してくれたように、、
あの人の指が、アタシの指に重なって、、、

その自分の姿が蘇り、頬が赤くなった。
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