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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
「話を続けても?」
「どうぞ」
 カミリアが促すと、ラウルも紅茶を飲んでから口を開いた。
「さっきも言ったけど、叔父は当時、フェガリの騎士団だった。その頃の騎士団は、シャムスほどではないけど強かったんだ。僕は物心つく前から剣を握らされたよ。6歳の頃に両親やシャムスの話を聞かされ、シャムスを憎んだ。その憎しみを糧に、僕は死ぬ気で剣技を磨き、必死に勉強をした」
 まだ始まったばかりだというのに、あまりにも壮絶なラウルの過去に、カミリアは言葉を失う。あの現実を6歳が受け入れられるとは到底思えない。

「ある程度強くなると、国境の森経由でシャムスに連れて行かれたんだ。フェガリには凶悪な魔物はほとんどいないからね。文字通り命がけで魔物を倒して、強くなっていった。前にカミリアの方が強いと言ったのを覚えてるかい?」
「えぇ、もちろん。あの答えには納得してないから」
 カミリアの言葉に、ラウルは苦笑する。

「もう1度言うけど、あれは嫌味とかじゃない。本当にそう思ったんだ。僕のは死ぬのが怖い。だから魔物だけでなく、死の恐怖とも戦って強くなった。けど、君は捨て身で戦っているように見えた。少なくとも、僕にはできない戦い方だ。そういった意味では、カミリアの方がずっと強いよ」
 ラウルに言われ、戦場にいる時のことを思い返す。カミリアは時と場合によっては、肉を切らせて骨を断つ戦い方をする。その証拠に、使用人からもらった傷消しのクリームで消えない大きな傷がいくつもある。

「死の恐怖と戦うこともある種の強さだわ」
「……ははっ、この話をすると結論が出ないね。話を戻すけど、僕は叔父から話を聞いてから、シャムスを滅ぼすことばかり考えていた。けど、14歳の頃にサウラと出会って、その考えが変わったんだ」
「14歳って、まだ子供じゃない。どうやってサウラ王子と会えたの?」
 驚きのあまり話の腰を折る。いくらなんでも話が飛躍し過ぎだ。
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