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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
「では後ろを向いていますので、服を脱いでベッドでうつ伏せになってください。このタオルをかけて、身体を隠してくださいね」
 アンジュに大きめのタオルを渡される。いくらタオルで隠せるといっても、人の前で裸になって背中を向けるのは抵抗があった。だが、そんなワガママを言っては、ふたりの厚意が無駄になってしまう。

 カミリアはネグリジェを脱いでうつ伏せになると、おしりを隠すようにタオルをかけ、アンジュに声をかける。
「では、施術を始めていきます。痛いところがあったら、我慢せずに言ってくださいね」
「はい」
 アンジュはタオルの位置を直すと、手にオイルを馴染ませてからカミリアの背中をほぐしていく。オイルはとてもいい香りがして、アンジュの手のぬくもりも、絶妙な力加減も心地がいい。
 強烈な睡魔に襲われ、カミリアはいつの間にか眠ってしまった。

 翌朝、目が覚めるとカミリアはベッドで掛け布団をかけて横たわっていた。ネグリジェもちゃんと着ている。
「私、あのまま眠ったの?」
 思い返してみるも、自分でネグリジェを着たり、ベッドに入った記憶はない。きっとアンジュがやってくれたのだろう。申し訳無さと恥ずかしさで、顔が熱くなる。
 水差しの水を飲むと、身支度を整えて食堂へ行く。

 食堂にはすでにラウルが座っていた。彼はカミリアの顔を見るなり、穏やかな笑みを浮かべる。
「昨日はどうだった?」
「とてもよかったのだけど、いつの間にか眠ってしまって……。アンジュさん、呆れ返ったりしてなければいいのだけど」
「それなら心配ないよ。ソニアは感じのいい人だったって言ってたしね」
 これでアンジュが怒ったり呆れ返ったりしていないことは分かったが、恥ずかしさは拭えない。
「アンジュが気に入ったのなら、またそのうち頼んであげるよ。さぁ、ごはんにしよう」
 ラウルに言われ、朝食を食べ始めた。

 昨日から交流パーティ前日まで、カミリアは勉強と公務の手伝いをする日々が続いた。午前中は公務の手伝い。午後は勉強。勉強が終わった後でも、ラウルが忙しそうにしていれば、彼の手伝いをした。
 怒涛の日々に追われ、交流パーティを4日後に控えた日の昼下がり、カミリアはラウルに中庭に呼ばれていた。
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