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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第5章 5章 陰謀渦巻く舞踏会
「あぁ、あれは私の手足みたいなものですから、お気になさらず」
 カミリアが男性達を見ているのに気づいたのか、ラプティスはカミリアの前に立って笑顔を作った。冷静に彼女の顔を見ると、頬の赤みもなく、肌もガサガサだ。きっと何日も徹夜をしてドレスを作ったのだろう。そう思うと、申し訳なくなる。

「ラプティスさん、顔色がよくありませんが大丈夫ですか?」
「ソニア様のドレス姿を見れば元気になるので問題ありませんわ」
 ラプティスは3着のドレスをテーブルの上に広げて見せた。1着目は花飾りがあしらわれた真っ赤なドレスで、胸元が大きくあいている。スタイルに自信はあるが、肌をこんなに露出するのは、抵抗がある。
 2着目は紺色の生地に金の糸で刺繍が施された上品なドレス。よく見ると刺繍は星や月を象っており、フェガリらしいドレスだ。
 そして3着目はツートンドレスとなっており、ウエストの大きな赤いリボンを境に、ウエストから上は深みのある赤、スカートの部分は紺色になっていた。

「どのドレスもラウル様のご希望で、スリットが入っていますのよ。ラウル様ったら、意外とそういうのがお好きなのね」
 いやねぇとひとりで盛り上がるラプティス。カミリアは、何故ラウルがスリット入りにするように言ったのか、察しがついた。ナイフはレッグホルスターに入れて持ち歩くことになっている。万が一のことが起きた時、ナイフをすぐに使えるようにするためだ。

「さぁさぁ、ソニア様! お気に召したものを試着なさってください」
「では、このドレスを」
 カミリアが手にしたのは、3着目のドレスだ。好みだけで言えば2着目が1番気に入っているが、3着目のドレスは両国の国色が入っているので交友パーティにぴったりだと思った。それに、赤を着てみたいという気持ちも、少しだけあった。
「まぁ、お目が高い! 早速試着しましょう。ほら、男共は出ていきなさい!」
 ラプティスの一言で、男達は衣装部屋から逃げるように出ていく。彼らが出ていくと、ラプティスは笑顔でカミリアに向き直った。
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