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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第5章 5章 陰謀渦巻く舞踏会
 ラウルは息を整えると、スラックスを履いてカミリアを見下ろす。彼女は気持ちよさそうに寝息を立てていた。よく見ると目尻に涙が滲んでいる。ラウルは涙を指で拭うと、カミリアの身体にかけてしまった精液をハンカチで拭き取っていく。
「だからあの男に気をつけろって言ったのに……」
 目を閉じると、アストゥートに襲われていたカミリアの姿が脳裏に過ぎる。あの時のカミリアは嫌悪で泣き濡れていたが、快楽に溺れかけているようにも見えた。いくら催淫剤のせいとはいえ、他の男がカミリアのあんな顔を見たと思うと、嫉妬でどうにかなりそうだ。

「僕も、不用心が過ぎたな……」
 初日に大丈夫だったからといって、カミリアをひとりにしてしまったことを悔やんだ。アムゼル夫人が知らせてくれなかったら、アストゥートにカミリアを奪われていたところだった。

「ごめんね、カミリア。もう、君を危ない目に合わせないと誓うよ」
 ラウルはカミリアの額にキスを落とした。本当は唇にキスをしたかったが、ファーストキスはカミリアと愛し合った時のために取っておきたかった。
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