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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第6章 6章 光と影
 リュゼの案内で2階の客室に入るが、そこには誰もいない。
「リュゼ、ソニアはどこなんだい?」
 強い口調で聞くと、リュゼは悲しげな目をしてラウルを見上げた。
「ラウル様は、本当にソニアを愛しているのですね」
「当たり前だろう。だから、はやく彼女のところへ連れて行ってくれ」
 苛立ちが募り、怒鳴り気味になってしまうが、そんなことを気にしている余裕はない。カミリアに危険が迫っている。そんな気がしてならないのだ。

「ラウル様、お可哀そう……。ソニアは、ラウル様を愛しておりませんのよ。今頃別室で、うちの使用人と夜を楽しんでいますわ」
 リュゼは目にいっぱいの涙を溜めながら上目遣いで見上げてくる。
(犯人はコイツか!)
 気づけばラウルは、リュゼの胸ぐらを掴んでいた。リュゼはガタガタ震え息を荒くする。
「あの子はどこだ? 言え」
 自分でも驚くほど低い声で問いただすも、リュゼは震えてばかりで何も答えない。痛めつけてやろうかと考えていると、フェガリの騎士が勢い良くドアを開けた。

「ラウル様! お連れ様は庭にいるそうです!」
 ラウルはリュゼを投げ捨て、騎士に駆け寄り、彼の肩を掴んだ。
「庭のどこにいる!? 無事なのか!?」
「お、落ち着いてください! 今話しますから!」
「ふふ、あっはは……! 無駄よ!」
 ふたりの後ろで、リュゼが不気味な笑い声を上げるのだった……。

 フェガリの騎士、ジャスティンに部屋から出してもらったハーディは、急いで食堂へ向かう。本当はすぐにカミリアの元へ行きたかったが、自分ひとりでは助けられる自信がない。それに、一刻もはやくラウルに知らせなければならないと思った。
 粗方事情を話したジャスティンがどこかに行ってしまったのは癪だが、今は彼に構っている場合ではない。
 食堂のドアを勢い良く開けると、貴族達は一斉にこちらを見た。だが、その中にラウルとリュゼの姿がない。
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