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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第6章 6章 光と影
「君、何を考えているんだ!?」
「シャムスの騎士は礼儀を知らんようだな」
フェガリの貴族達は、いきなり入ってきたハーディを批判する。だが彼らの批判は、ハーディには届かない。ハーディはラウルとリュゼを探したが、ふたりの姿はどこにもない。
「罰なら後でいくらでもお受けします。ラウル様とリュゼ様はどちらにおられるのですか?」
「ふたりならソニアという娘の様子を見に行った」
サウラが答えると、ハーディの顔が青ざめる。最悪のシナリオが、頭を巡った。
「ソニアが、カミリアが大変なんです! 庭の穴に……!」
ハーディの言葉に、フローレス公爵の顔が真っ青になる。貴族達は訝しげな顔をしてフローレス公爵を見つめる。
「あの悪魔のような穴に落ちたというのか!? すぐに助けに行かねば!」
フローレス公爵はハーディを突き飛ばし、外へ向かう。サウラとノクス王は顔を見合わせると、後に続く。ハーディはサウラ達と一緒に庭へ向かった。
「私のせいで、カミリアが……!」
「話は後で聞く」
サウラは強い口調で言うと、更に急いだ。
カミリアは、水に浮かんでいた。ランタンまであと50cm、外まであと70cmといったところか。もう少しで外に出られそうだが、体力と精神力の限界が近い。ランタンの近くに来て分かったが、フックはもうボロボロで、今にも取れそうだ。気が急いて早いタイミングで登ろうとすれば、命綱はなくなるだろう。
カミリアは寒さでかじかみ、力が入らないようにするだけで精一杯だった。きっと、本当にギリギリまで水が上りきらないと出るのは難しい。そう考えただけで、気が滅入りそうになる。その度に、ランタンの光で輝く宝玉を見て気力を保った。
「それにしても、ハーディはどうして私を……」
氷のような冷たい目、裏切り者という言葉。いつ彼女を裏切ったのか、見当もつかない。こんな残酷な罠で殺したいと思うほど憎しみを抱えていたのなら、理由を聞いても話してくれないかもしれない。それでも、ハーディとも向き合わないといけないと思った。
「シャムスの騎士は礼儀を知らんようだな」
フェガリの貴族達は、いきなり入ってきたハーディを批判する。だが彼らの批判は、ハーディには届かない。ハーディはラウルとリュゼを探したが、ふたりの姿はどこにもない。
「罰なら後でいくらでもお受けします。ラウル様とリュゼ様はどちらにおられるのですか?」
「ふたりならソニアという娘の様子を見に行った」
サウラが答えると、ハーディの顔が青ざめる。最悪のシナリオが、頭を巡った。
「ソニアが、カミリアが大変なんです! 庭の穴に……!」
ハーディの言葉に、フローレス公爵の顔が真っ青になる。貴族達は訝しげな顔をしてフローレス公爵を見つめる。
「あの悪魔のような穴に落ちたというのか!? すぐに助けに行かねば!」
フローレス公爵はハーディを突き飛ばし、外へ向かう。サウラとノクス王は顔を見合わせると、後に続く。ハーディはサウラ達と一緒に庭へ向かった。
「私のせいで、カミリアが……!」
「話は後で聞く」
サウラは強い口調で言うと、更に急いだ。
カミリアは、水に浮かんでいた。ランタンまであと50cm、外まであと70cmといったところか。もう少しで外に出られそうだが、体力と精神力の限界が近い。ランタンの近くに来て分かったが、フックはもうボロボロで、今にも取れそうだ。気が急いて早いタイミングで登ろうとすれば、命綱はなくなるだろう。
カミリアは寒さでかじかみ、力が入らないようにするだけで精一杯だった。きっと、本当にギリギリまで水が上りきらないと出るのは難しい。そう考えただけで、気が滅入りそうになる。その度に、ランタンの光で輝く宝玉を見て気力を保った。
「それにしても、ハーディはどうして私を……」
氷のような冷たい目、裏切り者という言葉。いつ彼女を裏切ったのか、見当もつかない。こんな残酷な罠で殺したいと思うほど憎しみを抱えていたのなら、理由を聞いても話してくれないかもしれない。それでも、ハーディとも向き合わないといけないと思った。