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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第7章 7章 甘く淫らに溶かされて
「こちらこそ、うちの娘をよろしくお願いします。カミリア、今までごめんね。あなたの噂はよく聞いていたわ」
「いつ戦死するか気が気じゃなかったんだぞ。こうしてお前の花嫁姿を見られてよかったよ」
 ふたりは緊張しているのか、ぎこちない笑顔をカミリアに向ける。感情が高ぶり、カミリアはふたりを抱きしめた。記憶にあるふたりより小さく感じ、時の流れを実感する。
「父さん、母さん、来てくれてありがとう……。私、ラウルと支え合って幸せになるから」
 両親は涙を流しながら、何度も頷いた。もらい泣きしそうになるのを、ぐっと堪える。

「あとで食事会でもしましょう。それでは、またいつか。ここで降りたんだし、歩こうか」
「えぇ、そうね。けど、ちょっと待ってて」
 カミリアは馬車に戻ると、レイピアを手にして降りた。この日のために用意された純白のソードベルトにレイピアを差すと、壇上に上がった。

「皆様、本日はお集まり頂きありがとうございます。私、カミリア・ケリーはシャムスの騎士として、国民を守るために奔走してきました。これからはフェガリの新国王の妻として、護衛として、彼を支えていきます。また、シャムスでの騎士団長、副団長の経験を活かし、フェガリの騎士達と共に鍛錬に励み、日々精進していく所存でございます」
 カミリアの演説に、歓声が上がる。彼らを見回していると、ハーディとラートの姿が見えた。彼らはカミリア達のすぐ近くにいて、ハーディの手には花束があった。

 ふたりは壇上に上がると、ハーディはカミリアに花束を手渡し、握手を求める。カミリアはその手を力強く握った。
「おめでとう、カミリア。とっても綺麗よ」
「ありがとう、ハーディ。元気でね。手紙も書くし、時々遊びに行くわ」
 ハーディは溢れてくる涙をあいてる手で拭いながら、小声で待ってると言った。泣かないと決めていたのに、カミリアはもらい泣きをしてしまった。
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