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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第2章 騎士団長命令
「自力で部屋に戻ります」
「それならせめて、車椅子を使ってくれないかな?」
ラウルは部屋の隅にあった車椅子を、カミリアの前に置いた。カミリアが車椅子に乗って出ていこうとすると、後ろのハンドルを掴まれてしまった。
「なにするんですか」
「君のこれからの予定を伝えてなかったからね。午前は僕の先生、午後は皆の先生。それでいいかな」
「それで構いませんから離してください」
「それじゃあ、気をつけて」
ラウルが手を離すと、カミリアはいそいそと医務室から出ていった。
「はぁ、嫌になる……」
カミリアは車椅子から降りると、壁に手をつき、びっこを引いて歩いた。痛みはあるが、歩けないほどではない。車椅子を使っているところを見られるより、よっぽどマシだ。他人に弱さを見せるのを嫌うカミリアにとって、車椅子は屈辱でしかなかった。きっと両足の骨折でもしない限り、彼女が車椅子に頼ることはないだろう。
やっとの思いで自室につくと、本棚から適当に1冊取り出して窓際の椅子に座る。パラパラとページをめくるも、読書をする気分になれず、テーブルに本を置く。
「なんでこんなにイライラするの……」
イラ立ちのあまり、髪を掻き乱してため息をつく。ラウルが騎士団に来てから、カミリアは振り回されっぱなしだ。心とペースを乱され続け、ストレスが溜まっている。
「なんであんなのが騎士団に……」
思い返すのは、食堂を騒がしくしたり、軽率に好きな男性のタイプを聞いてくるラウル。剣の実力は確かだが、人間性は最悪だ。
『でも、仕方ないだろ? 好きな子のことはなんでも知りたいんだから』
先程言われた言葉とお姫様抱っこされた時の彼の体温を思い出してしまい、頬が熱くなる。
「何考えてるの、私ったら……。あんな女たらし、なんてことないじゃない」
自分に言い聞かせると、瞼を閉じて深呼吸する。自分に息遣いに集中していくことによって、雑念が消えていく。
気持ちが静まり返った頃、誰かがドアをノックした。
「それならせめて、車椅子を使ってくれないかな?」
ラウルは部屋の隅にあった車椅子を、カミリアの前に置いた。カミリアが車椅子に乗って出ていこうとすると、後ろのハンドルを掴まれてしまった。
「なにするんですか」
「君のこれからの予定を伝えてなかったからね。午前は僕の先生、午後は皆の先生。それでいいかな」
「それで構いませんから離してください」
「それじゃあ、気をつけて」
ラウルが手を離すと、カミリアはいそいそと医務室から出ていった。
「はぁ、嫌になる……」
カミリアは車椅子から降りると、壁に手をつき、びっこを引いて歩いた。痛みはあるが、歩けないほどではない。車椅子を使っているところを見られるより、よっぽどマシだ。他人に弱さを見せるのを嫌うカミリアにとって、車椅子は屈辱でしかなかった。きっと両足の骨折でもしない限り、彼女が車椅子に頼ることはないだろう。
やっとの思いで自室につくと、本棚から適当に1冊取り出して窓際の椅子に座る。パラパラとページをめくるも、読書をする気分になれず、テーブルに本を置く。
「なんでこんなにイライラするの……」
イラ立ちのあまり、髪を掻き乱してため息をつく。ラウルが騎士団に来てから、カミリアは振り回されっぱなしだ。心とペースを乱され続け、ストレスが溜まっている。
「なんであんなのが騎士団に……」
思い返すのは、食堂を騒がしくしたり、軽率に好きな男性のタイプを聞いてくるラウル。剣の実力は確かだが、人間性は最悪だ。
『でも、仕方ないだろ? 好きな子のことはなんでも知りたいんだから』
先程言われた言葉とお姫様抱っこされた時の彼の体温を思い出してしまい、頬が熱くなる。
「何考えてるの、私ったら……。あんな女たらし、なんてことないじゃない」
自分に言い聞かせると、瞼を閉じて深呼吸する。自分に息遣いに集中していくことによって、雑念が消えていく。
気持ちが静まり返った頃、誰かがドアをノックした。