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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第2章 騎士団長命令
「シャムス人だけど、国境にある田舎だからか、王都ほど差別は酷くないよ。女性を見下す男性は多いけど、ここまでじゃない。一緒なのは、夜に出歩かないっていう風習くらいじゃないかな。だから、正直に言うと少し戸惑ってる」
悲しげに微笑むラウル。彼の話を聞いて、のどかな田舎を思い描く。ここまで醜い差別がない田舎町は、ルチェソラーレよりも心穏やかに過ごせるだろう。
同時に、そんな田舎から差別の激しい王都に来たのなら、心労が絶えないだろうとも思う。ラウルのことは苦手だが、サポートしたいと思った。
「分かりました、私で教えられることはお教えします」
「ありがとう、カミリア。やっぱり君は優しいね」
「仕事ですから」
優しいと言われ慣れていないカミリアがそっけなく返すと、ラウルは小さく笑う。何故笑われたのか分からず、ムスッとするカミリアに、ラウルは更に言葉を続けた。
「君のことも色々教えてくれると嬉しいんだけど。例えば、どんな男性が好きだとか」
考えるよりも先に、手が動いた。医務室に、乾いた音が響き渡る。
ラウルは目を見開き、横を向いている。色白の頬には、大きな紅葉。やけに熱い右手で、ラウルを平手打ちしてしまったのだと気づく。カミリアは一瞬だけ反省しかけるも、どう考えてもラウルが悪いと思い直し、彼を睨みつける。
「何考えてるんですか、この女たらし」
見開いたままのラウルの目が、カミリアへ向けられる。目が合った瞬間、ラウルはお腹を抱えて大声で笑った
「あははははっ! 女性に叩かれたのは、生まれて初めてだよ。でも、仕方ないだろ? 好きな子のことはなんでも知りたいんだから」
「まだそんなことを……!」
右手を掴まれ、驚きで言葉が途切れる。ラウルはカミリアの手のひらを上に向け、そっと撫でる。
「ごめんね、痛かったでしょ?」
「なんで叩かれたあなたが謝るんですか」
「申し訳ないと思ったからだよ。さぁ、部屋に戻って休むといい」
ラウルはカミリアを抱き上げようと手を伸ばす。カミリアは咄嗟にその手を払った。
悲しげに微笑むラウル。彼の話を聞いて、のどかな田舎を思い描く。ここまで醜い差別がない田舎町は、ルチェソラーレよりも心穏やかに過ごせるだろう。
同時に、そんな田舎から差別の激しい王都に来たのなら、心労が絶えないだろうとも思う。ラウルのことは苦手だが、サポートしたいと思った。
「分かりました、私で教えられることはお教えします」
「ありがとう、カミリア。やっぱり君は優しいね」
「仕事ですから」
優しいと言われ慣れていないカミリアがそっけなく返すと、ラウルは小さく笑う。何故笑われたのか分からず、ムスッとするカミリアに、ラウルは更に言葉を続けた。
「君のことも色々教えてくれると嬉しいんだけど。例えば、どんな男性が好きだとか」
考えるよりも先に、手が動いた。医務室に、乾いた音が響き渡る。
ラウルは目を見開き、横を向いている。色白の頬には、大きな紅葉。やけに熱い右手で、ラウルを平手打ちしてしまったのだと気づく。カミリアは一瞬だけ反省しかけるも、どう考えてもラウルが悪いと思い直し、彼を睨みつける。
「何考えてるんですか、この女たらし」
見開いたままのラウルの目が、カミリアへ向けられる。目が合った瞬間、ラウルはお腹を抱えて大声で笑った
「あははははっ! 女性に叩かれたのは、生まれて初めてだよ。でも、仕方ないだろ? 好きな子のことはなんでも知りたいんだから」
「まだそんなことを……!」
右手を掴まれ、驚きで言葉が途切れる。ラウルはカミリアの手のひらを上に向け、そっと撫でる。
「ごめんね、痛かったでしょ?」
「なんで叩かれたあなたが謝るんですか」
「申し訳ないと思ったからだよ。さぁ、部屋に戻って休むといい」
ラウルはカミリアを抱き上げようと手を伸ばす。カミリアは咄嗟にその手を払った。