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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
「君がシャムス人だからだよ。交友パーティをするなんて言ってるけど、お互いに疑ってるからね。そんな中僕が襲われて、シャムス人である君が助けてくれたら、フェガリ人の中にあるシャムス人への疑念がマシになると思うんだ」
この理由にカミリアはがっかりしてしまう。パフォーマンスをして築き上げる信頼に、意味があるとは思えなかった。
「まぁ、これは表向きの理由なんだけど」
「え?」
「僕が君のそばにいたいから」
澄んだ瞳でまっすぐ見つめられ、言葉を失う。あまりにもストレートな言葉と眼差しに他意は感じられず、返答に困る。
「ふふ、君は本当に初心で可愛らしいね。さて、話を戻そう。君の設定だけど、田舎町の名家のご令嬢ということにしておこう。それなら多少たどたどしくても、怪しまれることはない。それから、そうだな……」
ラウルが顎に手を添えて考え込んでいると、馬車が停まった。窓の外を見ると、青い屋根が印象的な美しい屋敷が見える。庭には色とりどりの花が植えてあって、見ているだけで癒やされる。
「素敵……」
「今日からしばらくの間、ここで暮らすんだよ」
食い入るように屋敷や庭を見ていると、耳元で囁かれる。驚いて振り返ると、ラウルは優しい笑みを浮かべていた。
「行こうか」
ラウルは先に馬車を降りると、降りようとしているカミリアに手を差し伸べる。
「お手をどうぞ、お姫様」
「……どうも」
歯の浮くようなセリフにむず痒さを覚えながらも、ラウルの手を借りて降りる。本来なら自分で普通に降りたかったが、今後のことを考えると、今から令嬢らしい振る舞いをしたほうがいいと思ってのことだ。
ラウルにエスコートされて屋敷に入ると、ひとりのメイドが出迎えてくれた。長い黒髪をふたつに結った小柄な女性で、小動物のように愛らしい顔をしている。
「おかえりなさいませ、主様。ラプティスさんが部屋でお待ちです」
「ありがとう、ルナ。紹介しよう。彼女はソニア。僕の婚約者だ」
恋人から婚約者にさせられた上に、違う名前で呼ばれて困惑するも、ラウルが目配せをしてきたので、話を合わせることにした。
この理由にカミリアはがっかりしてしまう。パフォーマンスをして築き上げる信頼に、意味があるとは思えなかった。
「まぁ、これは表向きの理由なんだけど」
「え?」
「僕が君のそばにいたいから」
澄んだ瞳でまっすぐ見つめられ、言葉を失う。あまりにもストレートな言葉と眼差しに他意は感じられず、返答に困る。
「ふふ、君は本当に初心で可愛らしいね。さて、話を戻そう。君の設定だけど、田舎町の名家のご令嬢ということにしておこう。それなら多少たどたどしくても、怪しまれることはない。それから、そうだな……」
ラウルが顎に手を添えて考え込んでいると、馬車が停まった。窓の外を見ると、青い屋根が印象的な美しい屋敷が見える。庭には色とりどりの花が植えてあって、見ているだけで癒やされる。
「素敵……」
「今日からしばらくの間、ここで暮らすんだよ」
食い入るように屋敷や庭を見ていると、耳元で囁かれる。驚いて振り返ると、ラウルは優しい笑みを浮かべていた。
「行こうか」
ラウルは先に馬車を降りると、降りようとしているカミリアに手を差し伸べる。
「お手をどうぞ、お姫様」
「……どうも」
歯の浮くようなセリフにむず痒さを覚えながらも、ラウルの手を借りて降りる。本来なら自分で普通に降りたかったが、今後のことを考えると、今から令嬢らしい振る舞いをしたほうがいいと思ってのことだ。
ラウルにエスコートされて屋敷に入ると、ひとりのメイドが出迎えてくれた。長い黒髪をふたつに結った小柄な女性で、小動物のように愛らしい顔をしている。
「おかえりなさいませ、主様。ラプティスさんが部屋でお待ちです」
「ありがとう、ルナ。紹介しよう。彼女はソニア。僕の婚約者だ」
恋人から婚約者にさせられた上に、違う名前で呼ばれて困惑するも、ラウルが目配せをしてきたので、話を合わせることにした。