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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠
「有喜菜に見せたときは、まだ、この十分の一も集まってなかったと思う」
せっかくの夫婦の語らいに、またしても有喜菜が登場したことに―しかも直輝の方から先に出してきたことには鼻白んだものの、こここで指摘すれば、元の木阿弥になりかねない。
「これだけ集めるのは大変だったでしょ」
「まあ、な。仕事で海外に行ったときとか、国内でも仕事柄、あちこち行く機会があるから、そういうときに珍しい時計を探すんだ」
広告代理店といえども、様々な部署がある。直輝は営業だから、出張は多いのは確かだ。
「それにしても、よく集めたものねぇ。よほど時計が好きじゃないと、これだけ揃えるのは無理だわ」
「京都に行ったときに、凜工房も訪ねたことがあるんだ。何しろ、あの工房は時計に興味のある人間にとっては一度は脚を運んでみたい場所だからな。けど、そこの職人っていうのがまだ二十代の若さだっていうのに、頑固爺ィも顔負けの偏屈さで、何度訪ねても逢ってくれないんだ。結局、三度訪ねても逢えずじまいで、それきり、もう諦めてた」
せっかくの夫婦の語らいに、またしても有喜菜が登場したことに―しかも直輝の方から先に出してきたことには鼻白んだものの、こここで指摘すれば、元の木阿弥になりかねない。
「これだけ集めるのは大変だったでしょ」
「まあ、な。仕事で海外に行ったときとか、国内でも仕事柄、あちこち行く機会があるから、そういうときに珍しい時計を探すんだ」
広告代理店といえども、様々な部署がある。直輝は営業だから、出張は多いのは確かだ。
「それにしても、よく集めたものねぇ。よほど時計が好きじゃないと、これだけ揃えるのは無理だわ」
「京都に行ったときに、凜工房も訪ねたことがあるんだ。何しろ、あの工房は時計に興味のある人間にとっては一度は脚を運んでみたい場所だからな。けど、そこの職人っていうのがまだ二十代の若さだっていうのに、頑固爺ィも顔負けの偏屈さで、何度訪ねても逢ってくれないんだ。結局、三度訪ねても逢えずじまいで、それきり、もう諦めてた」