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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠ 
 直輝によれば、凜太という職人は基本、特注、個別注文でしか仕事は受けないという。一般店舗で売るために時計を作るということはまずないので、紗英子が時計店で凜太の作った時計を見つけたというのは奇蹟に等しいらしかった。
「どういう経緯で凜太の作った時計がその店にあったかは判らないが、まぁ、ラッキー中のラッキーだったってことだな」
 よほど嬉しいらしく、直輝は左腕に時計を填めたままで、今も撫でさすっている。
「だから、本当に嬉しいよ、ありがとな」
 これだけ歓んで貰えれば、贈る側も甲斐があったというものだ。正直、五万の出費はきつかったけれど、直輝がこれだけ手放しで歓ぶのなら、惜しい出費ではない。あのお金はいつか有喜菜と二人で韓国旅行に行こうと思い貯めていたものだ。
 韓流ドラマを見て韓国ファンになった紗英子は是非、一度、韓国を訪れてみたかった。しかし、直輝はそういうものには全く興味がなく、有喜菜に打診したところ、独身の身軽さもあり、一緒に行くことを快諾してくれた―のだが。
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